11.トピックス
001. 爺~じ! お帰り!
爺~じ! お帰り!6年間お疲れさん!! 2018年11月、TL80mmズッシリと大きく育った青色ニホンザリガニの♂を引き取ってきました。2012年の11月以来6年間、室蘭水族館と行ってきた青色ニホンザリガニの共同繁殖が成功し完了したからです。
2012年11月、自宅で飼育中の青色ニホンザリガニが茶色の♀と交接するのを見たことから「青×青」の繁殖に思い至り、室蘭水族館に共同繁殖の話を持ち掛けました。私が毎年夏季開館中にアルバイトをしていた水族館では、丁度この年青色ニホンザリガニの展示を行っていました。
この時点で水族館飼育の個体は♀2匹でしたので、言い出しっぺである私が飼育の♂を持ち寄り世話を担当すること、繁殖に成功したら成果を二等分することなど、館長とのごく素朴な合意でスタートしました。「千匹に1匹」とか「一生に一度出会うかどうか」とか言われるほど珍しい青色個体ですが、こうして♂♀が揃い繁殖の試みが実現しました。
「ニホンザリガニの繁殖は難しく成功例がほとんど無い」という事前の情報から、ネットなどの資料を読み漁って勉強すると同時に、市販の設備・システムに頼らず生息地の環境を再現する工夫をしてプラケースを改造し独自のシステムを考案しました。交配・産卵に際しては連日長時間の観察、6年間に及ぶ冬季無給での飼育管理を続けてきました。
こうしてスタートした共同繁殖ですが、♀2匹がまだ小さかったこと、この年の繁殖期もほとんど終わろうとしていたことなどから、私自身は「当面飼育実績を積んで2~3年後に繁殖できれば上々」と考えていました。
幸い♀2匹のうちの大きい方が10月の脱皮のあと性成熟して、12月には交接が成立し、翌年3月には産卵と順調に経過、7月には初産ながら36匹の孵化を見ることができました。分離した稚ザリは、2分の1を私が引き取り自宅で水道水を使った飼育槽を立ち上げました。
翌年には2匹目の小さな♀も性成熟して繁殖に加わりました。こうして水族館と大西飼育の2つの個体群が順次成立し、2017年には大西の飼育槽で初孫が、翌2018年には水族館でも孫ザリが誕生し、それぞれに必要な数の繁殖が可能になりました。
これ以前には繁殖の実績が無かったことから青色が遺伝するのかどうかも解明されていませんでしたが、「青×青」から生まれた子は全個体が青色になるなど、この個体群についての遺伝の仕組みがほぼ明らかになってきました。
こうして当初の目的を十分に達成できたので、2018年11月をもって室蘭水族館との共同繁殖を終了することとしました。
「爺~じ! お帰り! 6年間お疲れさん!! 」
(2019・03・01)