09. 累代繁殖
2013年生れの子ザリ達は順調に育って、2015年10月の脱皮後には、15令前後で40~48mmになりました。
どのくらいの大きさになれば繁殖できるのか、情報は少ないのですがネット上には「全長4センチ程度の個体は立派な成体です」「概ね4.5cmで性成熟に達します」といった記述も見られます。
いよいよ累代繁殖の段階へ。以下「現在進行形」で記事を進めていきます。
2015年
10月
一番大きな個体は脱皮殻からの推定で46~47mmの体長になる。
11月
大きな♂・♀を試みにあわせてみる。すんなりと交接へ。
「も~ちょっとだ、ガンバレ!」
いつもここからが時間がかかる。終わるまでに数時間、12時間を超えることも。
翌日、精包付着を確認して分離。
43mm程の2番目の♂は、すっかり委縮して隅っこに潜り込んでいたので、こりゃダメだなと思っていたら、翌朝にはこの通り。人の見てないところでしっかりやってくれました。
順次、小柄な個体同士も交配してみると、40mm未満の個体にも交接するものが・・・。
飼育槽が手狭になるので一部の♀をオークションに、落札先での将来の繁殖にも配慮して、母親が異なる2014年生れの♂を付けて出品しました。
2016年 1月
付着していた精包はすっかり無くなり、小さなうす白い貯精嚢がかすかに見えるだけ。
同一個体 2015.11.02 2016.01.19
4月
待っていたけど、残念!!!
3年目の秋45mm超・交接と順調に進んできた累代繁殖への道はここで一時停止のようです。4月になってもどの個体も「産卵しない」のです。
産卵しない理由・原因を考える場合、当然、飼育環境のチェックも必要ですが、水族館、自宅飼育槽のどちらも「成体は3月上旬に産卵し抱卵中」です。またこの「青色きょうだい」の対照実験として育ててきた同年生まれ茶♀1匹(同一個体群・別両親)が「43mm・交接スミ」で同様に産卵ナシです。
3歳以下では多少サイズが大きく育っていても「性成熟してはいない」ということかも知れません。いずれにしても、次シーズンまで「おあずけ」です。
4回目の夏
5月末から6月にかけてと10月の年2回の脱皮でTLは45~55mmほど。大きめ小さめサイズはバラケてきましたが、♂♀による偏りはないようです。青色はさらに鮮明になり、初めて育てた稚ザリ達は立派な瑠璃色のザリガニに。
11月
累代繁殖にむけて再挑戦 !!
秋も深まった10月末から11月にかけて順調に交接。
2017年 1月
静かに冬ごもり、寒い日には薄氷も。
3月
3月の上旬から中旬にかけて産卵。偶然一匹の産卵を観察することができました。
13:39
本来十分な巣穴があれば脱皮も産卵も巣穴の中で行うのですが、巣穴を掘れる環境ではなかったので、オープンです。上から覗き込んでいる角度です。
両手で水をすくう時のように、尾扇と腹節でボウルを作りその中に生み出しています。
14:35
産卵孔よりはだいぶ大きい柔らかいものをひねり出す感じ。しずく形になって出てきたものが下に行く間に丸くなっています。
30秒に1個くらいのペース、だいぶ貯まってきました。
15:35
1個産み出すのに2分ほどかかるようになって、そろそろ終了かな?
糊状のものをたっぷり分泌し、体を横にしたり斜めにしたり、頻繁に体位を変えます。卵を満遍なく定着させようとしているように見えます。
この飼育環境では4年で性成熟したことになります。
6月 下旬
抱卵していた2013年生まれの子が無事孵化。青の「累代繁殖」達成です。ニホンザリガニにとっては初めてのことでしょうか。
1令期、まだ親とつながっています。
1週間後、2令期です。もうすぐ強制的に親から分離します。
同じ2013年生れの姉妹には「脱卵」「食卵」「産卵ナシ」などのケースが有りました。母親になるにはまだ若く性成熟が十分でなかったことや、飼育環境としての不十分さなどが原因として考えられます。
12月 初旬
爺~ジです。現在77mm、2012年秋採集時58mm、推定12歳です。ハサミも大きくなり、動きもユッタリとして貫録があります。
この秋は問題なく交接もこなして元気。来年はいよいよ80mmの大台を目指します。
(大きさは全て「額角から尾節の先まで」
TLを測っています)
初孫です。20mm弱、まだ「青い」と言える色ではありませんが、透明感の中にも触角やハサミなどしっかり「北の瑠璃」の特徴が出ています。
1年後には外殻も厚くなり、誰が見ても「青い」と言える体色になるでしょう。
今後、安定した繁殖が実現できるようになれば、いよいよ、発色のより美しい選りすぐりの♂♀を交配する「品種改良」の段階に向かうことになります。